私の通ってた通信制高校では、年に三泊四日だけの登校日がありました。そこで出会った、普段出会わなそうな人たちの思い出を書き残しておきます。
それぞれの関わりは薄いので、一つ一つのエピソードは短めです。
バス電話ネキ
登校中のバスで、大きな声で電話をする女の子がいました。 教師に何度注意されても電話を続け、しまいには没収されてしまいました。
先生の注意をガン無視していた器の大きさが印象的でした。
全身タトゥーニキ
バスで隣に座った男の子は、腕は勿論、首から頭皮にまでタトゥーが入っていました。 当時としてはオドロキで、そんな人の近くにいた経験がなかったものですから、戦々恐々としていたのを覚えています。
けれど、彼は凄くフツウでした。その旅程で出会った人の中で、一番マトモに見えた人です。だから余計に、怖めなバックグラウンドを想像したりしました。 バスではずっとシャドウバースをやっていて、授業中もずっと静かでした。シャドウバースは流行から何年か経ってたものですから、結構ちゃんとやってたっぽいです。
一番印象的だったのが、バスの途中休憩の場面です。
バスがサービスエリアに着きます。私の方が通路側に座っていたのですが、彼は「すみません、前いいですか」と言ってマナー良く私の前を抜けていきました。
ええ、はい。何も特別なことはないんですけど、所作が落ち着いてたというか、なんだかとてもちゃんとしているように見えて……「ヤンキーの優しさ」的な効果かもしれませんが……。
攻めたオシャレをしていた以外、徹頭徹尾フツウでした。それが印象的でした。
休み時間の会話
一部で、「オレ、今度の誕生日にビーエム(BMWのこと)の○○△△買ってもらうんだ~」「え~いいな~、俺は{よくわからない横文字}の◇◇□□~」みたいな会話が繰り広げられてました。ヤンキー風だったので、特殊なご家庭なのかな、と想像しました。 まだ歳も16とか17とかだったと思うんですが、とにかく、免許取る前からそういう話が出てくるそうです。すごいね。
ヤンキーバイク自慢ニキ
英語の授業のときでした。たまたま私が先生にあてられて、何かしらを答えました。すると隣の男の子が、「お前、英語できんの」みたいに話しかけてくれました。 定かではないですが、英語といっても、"This is a pen."くらいの内容だったと記憶しています。
さて、なんやかんやあって、彼は自慢のバイクを見せてくれることになりました。 イソイソとスマホを取り出して、何か操作しています。私は、上記の会話が聞こえた後ですから、「お、なんだなんだ高級車か?」とか思ってました。
「これ!」
出てきたのは紫色のバイクでした。フリーザみたいな色使いで、背もたれとハンドルが高いやつです。アレです。
「おぁ~、かっこいっスね」
それくらいしか言えませんでした。
遠い世界の話だと思っていたものが、目の前にやってきた瞬間でした。
授業中の会話
基本的に、意外にもみんなマナーは良くて、私語なんかもそんなにありませんでした。
ただし、例外があります。一番後ろの人々です。 ひと際年上に見える男の子たちでした。20代半ばくらいかな。
ヒップホップとか好きそうな身なりで、ずっと騒いでいました。教師からも特にお咎めはなかったです。 あんまり堂々と騒いでいたので、そもそも彼らは生徒じゃなかったのかもしれません。真相は闇の中です。 近所の輩がたむろしてただけだったら面白いな。
色々な事情があるものです。
サイレンサー・マシンガン・トークニキ
居室で同室になった男の子です。ズボラな長い髪を後ろに結んでいました。
軽く挨拶を交わして、私は「普段なにしてるんですか~」みたいな世間話のジャブを打ちました。 それからは彼のターンです。小さな声で、沢山話してくれました。
あまり聞き取れなかったものですから、なんか、頑張って相槌をうちました。中身は何も覚えていません。すみません。 何かに駆り立てられるように、頑張って話そうとしてくれたのが印象的でした。 私も社会不安が強い方なので、なんとなく親近感がありました。
みんな今頃どうしてるんだろうねぇ